第一回 品質工学会 日本規格協会理事長賞

審査部会

 昨年度,新しい品質工学会の賞として,一般財団法人日本規格協会より贈呈による「品質工学会日本規格協会理事長賞」が制定された。この賞は,品質工学に関連して広く日本の標準化に貢献すると思われる成果に対して与えるもので,品質工学の実践と普及をつうじて,個別企業や研究組織などの組織体や社会へ継続して貢献した個人あるいは組織体に授与される。2015年12月末から2016年2月15日にかけて募集し審査した結果,以下の団体に第一回品質工学会日本規格協会理事長賞を授与する。

 第一回 品質工学会 日本規格協会理事長賞
受賞組織広島品質工学研究会
[代表:高辻英之(会員No.16137)]
推薦者桑原 修 [(公財)広島市産業振興センター]
授賞理由
  1. 広島品質工学研究会は,1993年に設立された。事務局や研究会の名称の変更があったが,広島地区で継続した研究活動を行い広島地区の品質工学のセンター的役割を果たした。地区企業や研究組織体への品質工学の普及への貢献が認められる。
  2. 参加組織の研究成果は,会員の所属団体から品質工学研究発表大会に133件発表され,42件が品質工学会誌に投稿されている。その内,品質工学会財団法人精密測定技術振興財団大会賞19件,論文賞5件,ASI賞5件が授与されている。研究の質の高さを示すとともに,その事例が多くの研究の模範となっていることが認められる。
  3. 研究会に参加している企業の事例は,日本規格協会の雑誌「標準化と品質管理」にも取り上げられ,全国的な品質工学の普及にも寄与している。これらの研究成果は,パラメータ設計のISO化においても影響を与えたと評価される。
  4. 品質工学の研究活動は,純粋に数理や手法だけを研究するのではなく,実際に開発するテーマで研究することを重要視している。広島品質工学研究会の発表報告は,参加企業や研究団体の技術開発の課題をテーマとしている。いずれも合目的であり,品質工学の研究方法と手順を踏襲している研究が多い。研究の仕方も模範的である。
  5. 活動内容をみると,設立の初期には,メーカーを主体の開発や生産工程の改善事例が多い。時代の経過に従い,地区の特産である牡蠣の養殖やさつまいも,オレンジ栽培など農水産領域へと拡大し,非二次産業領域の開拓をもしている。それらの研究は,21世紀の初頭にかけて田口玄一が主張したMTSを適用し成果を出しつつある。品質工学の研究は,先行性,汎用性,再現性を大切にしているが,当研究会のアプローチは,先行的事例としても参考になっている。広島地区に留まらず全国の品質工学を研究する方々にとっての研究の刺激となっている。この点も評価される。

以上